脳科学・遺伝学に基づく「催眠療法」
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約3ヶ月という期間


 さて、ここで「心の病(精神疾患)」の問題が絡んできます。

 私たちの脳内が精神的ストレスでダメージを受け続けている時に、脳機能も正常に働けなくなり、次第に、いわゆる脳の機能異常(誤作動)を起こし始めます。この脳機能の誤作動が「心の病」の症状を作り出しているのです。

 脳の働きに誤作動が生じると、ストレスに対して過剰で過敏な反応が生じ、これまではさらりと流せていた人間関係や事柄にこだわりだしたり、深刻な落ち込みや不安などの精神面や思考に混乱が生じたりしてきます。肉体的にも疲れやすく、様々な不調をきたし、眠れなくなったり、寝ても疲れがとれなくなったりして、心身に悪影響が及び始めます。このような、脳の機能上の異常な状態(機能不全)が長引けば、心の世界が狂い始めるのです。

 ここに一つ重要な事実があります。
 それは、こうした脳に誤作動が起きるまでに、その人の生活環境上でかなり強いストレスが3ヶ月前後続いているということです。

 人が強いストレスに3ヶ月前後さらされると脳が誤作動を起こし、「心の病」が発症するということを、私は臨床的に分かっていたので、ずっと前から前著書などでも警告してきました。

 やっと最近になって分かってきたことですが、神経伝達物質の自己受容体(オートレセプター)が環境によって変化することが脳科学で解明されたのです。

 自己受容体は、神経細胞にあって、自分が放出した神経伝達物質をモニターしてその量を制御する働きがあります。

 ところが、ストレスなどの原因で、自己受容体の数が多くなっていると、その神経が放出する脳内神経伝達物質の脳内濃度が再吸収され過ぎて薄くなってしまうのです。

 また、長期のストレスで、必要な神経伝達物質が不足してくると、受容体の感受性も高まり、軽微なストレスに過剰に反応するようになります。そうなると、受容体に反応する神経伝達物質の種類によっても違ってきますが、些細なことで怒りなどの感情が抑えられなくなったり、問題に向き合い適切な判断や行動がとれなくなったり、抑うつ症状で落ち込んだり、不安が強くなり、不安定な精神状態で問題行動を起こす状態に陥っていきます。

 そして、この自己受容体の数を多くしたり少なくしたりしているのは遺伝子ですので、ストレスによって遺伝子の発現が変化したといえるのです。

 この自己受容体が増減する遺伝子の変化に必要な期間が、約3ヶ月だということが分かってきました。

 人は、「心の病」になるのも、良くなるためにも、約3ヶ月という期間は脳細胞や遺伝子にとって最低必要な期間だったといえるのです。この自己受容体の改善に伴って、変化が安定するまでの一定期間症状が悪化したように感じることがあることも分かってきました。これは昔から「好転反応」といわれていた状態です。

 うつ病になった時に、病院でもらう薬の中で、SSRI 系またはSNRI 系などの自己受容体に働きかける薬を一旦飲み始めてしまったら、その薬をやめるためには、3〜6ヶ月かけて徐々に減らしていく必要があるのもそのためなのです。

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