脳科学・遺伝学に基づく「催眠療法」
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実行機能とは

 
 実行機能(エグゼクティブ・ファンクション)は、脳の前頭前野、特に前頭連合野と呼ばれる部分で主に処理されます。他には、頭頂葉や大脳基底核、ACC も関与します。実行機能の働きは、私たちが生きていく上において、自己の活動を監視・管理するために複数の脳の機能が複合的に発揮されて実現されるものです。

 つまり、実行機能は目的達成のために、感覚情報処理機能、運動制御機能、記憶などの認知機能など複数の機能系を統合し、協調して働かせる脳のメカニズムは実行制御と呼ばれ、実行制御によって制御・実行される機能は実行機能と呼ばれています。

 催眠に関連した分野で実行機能のお話しをすれば、「自己モニタリング」(予測と感覚フィードバックの照合)にエラーが発生した場合、即時にエラーの修正やトラブルの解決を図ろうとします。あらたな行動の遂行判断、危険や困難はどうか、様々な誘惑や感情の抑制を私たちの脳は行っているのです。

 しかし、催眠のテクニックによってそうした脳のメカニズムを一時的に混乱(脱活)させれば、私たちは非日常的な感覚に襲われます(これは、催眠をより深化させていく技術でもあるのです)。

 さらには、実行機能の重要な働きの一つである抑制機能を例にあげれば、催眠現象で、痛いのに痛くないと感じたりするのも理解できます。一次体性感覚野は痛みの刺激をしっかり感じてはいても、二次体性感覚野と相関したACC(前帯状皮質)が作り出している抑制現象なのです。この脳部位の働きの変化で、痛みとして感じる感度が抑えられるからです。

 ACC は、扁桃体に抑制信号を送り、実際に感じている痛みによる快不快といった感情を抑えるなどのコントロール( 感情統制)を行っている脳部位です。

 催眠術で、手の甲などを強くツネっても痛みを感じない、または、痛くなくても痛く感じさせるような感覚の支配において、ACC は、痛みなどの対象部位の感度の上げ下げやブロックといった働きをしているとみられています。

 また、ACC は計画立案や矛盾の解決を行う脳領域でもあります。

 さらにACC が重要なのは情動系の興奮を前頭前皮質の判断によって抑制する重要な神経伝達経路であるということです。ここが正常な機能を維持しなければ、感情が暴走してしまうことにもなりかねません。

 催眠状態の人をfMRI で撮影した脳画像では、ACC と視覚野の両方で、脳の活動に変化が出ていることが観察されています。

 催眠の現象は、運動や味覚、記憶などにも変化を与えることができます。認知の変化なども全て脳機能が関わっていますが、それらが脳のどの部位で生じているかの研究は進んでいて、このようにかなり明らかになっているのです。

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